江戸の食文化


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 −鱠掛酢の解読と酢の歴史−

「江戸流行  料理通大全」   八百善主人   文政五壬午年二月

享和(きょうわ)三年 癸亥(みずのとい)
1803年 開業 八百善の料理本の一部


「鱠掛酢」 なますかけす の項目

一 御膳酢(ごぜんす) 一 三盃酢(さんばいす) 一 密柑酢(みかんす)  一 柚練り酢(ゆねりす)
一 ぶどう酢 一 九年母酢(くねんぼす)  一 だいゝ酢  一 いりさけ酢
一 たまご酢 一 可き酢(かきす)  一 多で酢(たです)  一 芳野酢(よしのす)
一 けし酢  一 胡麻酢(ごます) 一 練り酒酢  一 青梅酢(あおうめす)

たかが酢、されど酢で十六種も使い分けていたようである。

5ページの鱠掛酢は変体仮名で書かれている。

江戸がなの基礎を知り、上記の如く解読。

解読に苦労した字・・・・掛のふりがなの「う」に似た字は「か」、「ーのき」は可の「か」で、
               かき酢(柿酢)、三ばい酢のばいは「盃」



酢について
酢の歴史

 酢は酒(アルコール)を酢酸発酵させてできる。
応神天皇(369年〜404年)の頃に中国大陸から渡来したといわれる酢は、大化の改新(645年)の大宝律令
では、酒と一緒に酢を造る「造酒司(ミキノツカサ)」と言う官職があった。
平安時代の「延喜式」には、酢の原料が記録され、梅酢、菖蒲酢などが造り始められており、室町時代になる
と和え酢が造られるようになる。江戸時代になって米酢や粕酢造りが始まる。

八百善の酢の種類

三盃酢(三杯酢)
 盃などで酢、醤油、みりんを一杯ずつ、計三杯量って調合した為、三杯酢と名付けられた。
近年ではみりんを利用することは少なく、甘みとして砂糖を用いることが多い。
酢と砂糖が2:1程度の比率で混ぜられ塩で味が調えられ、。醤油は風味付けに少量たらされる程度である。

九年母酢(くねんぼす)
 沖縄本島北部・亜熱帯の原生林が残る自然の宝庫“やんばる”地域で自生している、直径3cm程の小さな果
実で、種から育てると、9年後に実をつけることから、方言で「九年母(くねんぼ)」と呼ばれており、初秋の味覚
として、うちなーんちゅ(沖縄県民)から愛され続ける果実から造られる。

多で 酢 (蓼酢)
 ヤナギタデの一変種。辛みがあり、食用。刺身のつま、蓼酢(たです)にする。

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