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| 江戸一の大歓楽街 -吉原と川柳- |
| その拾弐 |
| 風趣に富んだ提灯 |
| ほろ酔いの頬を微風に吹かせて、小股の切れあがった茶屋女の提灯(ちょうちん)に導かれ、 |
| 歓楽に酔う群衆の間を縫い、花吹雪を浴びながら目指す妓楼へ送られていくのであった。 |
| 茶屋が妓楼へ客を送る際には、屋号が印されてある提灯を灯して案内するのが例になって |
| いる。 |
| 提灯の大きさは、丁度醤油樽ほどある棒のない、頗(すこぶる)風趣(ふうしゅ)に富んだもので |
| あった。 |
| 待つ顔へ桜 をり々散りかゝり |
| 仲の町おつこちさうに腰をかけ |
| たてかけたやうに傾城腰をかけ |
| まだ来なんせんかと椽(たるき)へ腰をかけ |
| 遊女が、禿(かむろ) や新造(しんぞう)などを同伴(ひきつれ)て、仲の町と江戸町の角に、 |
| 毛氈(もうせん)を敷きつめてある床机へ腰をかけ、客を待つところを「待合の辻」と云う。 |
| 桜花の下の濃艶極まりなき美人の容姿(さま)は、一幅の絵とも見るべく、 |
| おっこちさうにとは、華奢(きゃしゃ)な装いの、ぎごちなく、充分腰をおろすことが出来ないと |
| 云う意。 |
| 幕よりも簾の花が面白い |
| 上野や飛鳥山に幔幕を張って見る花よりは、吉原で妓(おんな)たちと共に、茶屋の二階から |
| 見る花の方が、余ッ程面白いと云うのである。 |
| ◇妓楼(ぎろう)・・・・・・遊女を置き、客を遊ばせる店 |